13にちのきんようび

月なんてもう何ヶ月も見ていないなと思いながらインターネットで目にした記事を思い出す。確か今日だ、詳しい内容は覚えていないが今日は月が綺麗らしい。

風呂上がりにサンダルを履いてベランダに出てみる。想像したより何倍も大きく赤い月がつまらない都会の夜に浮いていた。それは確かに綺麗だったが、仕事で疲れていた私は直感的に地球の終わりを感じた。せっかくだから今日買ったデザートチーズをここで食べようと思いキッチンまで戻った。冷蔵庫で冷やされたチーズは当たり前に冷たかった。

ベランダでチーズをかじっていると孤独が浮き彫りになった。もうすぐ日付が変わるこの時間の外はいくら都会でもそこそこ静かだ。遠くで光るネオンライトが滲む。どうしても、どうやっても私は惨めだ。身を乗り出すと特に心地よくもない風が肌に触れた。くそ、くそ、くそ。いっそのこと全てが燃えてなくなってしまえ。

こんな気持ちになるなら早く寝ればよかった。月が白く歪んで見えた。部屋に戻ろう、時計の長針は半分も回っている。すっかり湯冷めしたのに、今日干したばかりの布団でも私の孤独までは包んでくれなかった。