2019-01-01から1年間の記事一覧

🚻

トイレで泣くのが好き。真っ白で無機質な空間なら孤独がほんとうにわたしだけのものになる気がする。それに鍵もかけられる。こんな贅沢で純度の高い孤独を味わっていいのだろうか。家にはわたしひとりなのに。 トイレットペーパーをぐしゃぐしゃにして顔に押…

アナウンサー

朝目を覚ますと○○が隣にいる…はずもない。 君はとっくの昔に起きて今日もトイレで誰かと話をしている。君の言う〝馬鹿みたいな奴ら〟みたいにゲラゲラ笑って。 わたしはスリッパを履いて目をこすりながら洗面所まで行く。今日もきっと何もないだろう。長期休…

食事

耳栓をして食事をする。脳で咀嚼音が広く響く。投げやりに飲み込む。空気も一緒に飲みこんだせいで胸がつっぱった。音は頭から背中まで真っ直ぐ伝っていく。 茶碗いっぱい米を食べ終わったあと俺はどうしようもなくなった。ほんとうにどうしようもなくなった…

13にちのきんようび

月なんてもう何ヶ月も見ていないなと思いながらインターネットで目にした記事を思い出す。確か今日だ、詳しい内容は覚えていないが今日は月が綺麗らしい。 風呂上がりにサンダルを履いてベランダに出てみる。想像したより何倍も大きく赤い月がつまらない都会…

6/7 ⑵

朝からセブンイレブンのピザを巻いたようなもの(あとで聞いたがこれはブリトーと呼ぶらしい)を食べたが、これが想像以上に辛くて学校に着く前から消化器官が悲鳴をあげていた。 学校に着き、とりあえずトイレに入る。かわいい後輩の女の子がトイレから出てき…

「私は何をすれば認められるだろう。誰かの快楽、利益のために自分が利用される妄想がやめたくてもやめられない」とツイートしようとしてやめた。なんだこれ、キモすぎる。 自分が本当に思っていることであればあるほど言語化するとやけにもやもやして気持ちが…

バス

一年前、まだ私が学校に通っていた頃にバスの中で見た女性のことを思い出した。制服を着ていたので高校生だ。でも、「女性」という言葉がよく似合う人だった。 少し短い髪、綺麗な切れ長の目、通った鼻筋、長く華奢な手脚。赤いマフラーが似合う凛とした静かな…