教室の掃除用ロッカーで眠っているせみちゃんへ

私は、あなたがあの子に閉じ込められたんじゃなくて、自分からここに入っていったのを知っています。下駄箱に泥を入れたのも、トイレに閉じ込めて水をかけたのも、上履きに画鋲を入れたのも、机に花瓶を置いたのも、全部せみちゃんが自分でしたことだって、知っています

せみちゃん、そんな場所で誰にも気付かれずにうつくしく眠っているせみちゃん、私はあなたのことが好きです

誰かに好きになってもらおうとして作った嘘で塗り固められたその人格で誰からも好かれることなく、こんな場所で眠り続けることを選んだあなたの歪んだ美しさが好きです

だからどうか、どうかそのままの美しさでいてください。その美しさでは人を振り回すこともできない、だから、そのままでいてください。あなたが慣れなかったあなたが私はとても好き。おやすみなさい。