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トイレで泣くのが好き。真っ白で無機質な空間なら孤独がほんとうにわたしだけのものになる気がする。それに鍵もかけられる。こんな贅沢で純度の高い孤独を味わっていいのだろうか。家にはわたしひとりなのに。

トイレットペーパーをぐしゃぐしゃにして顔に押し当てる。わたしの嗚咽を安っぽいトイレットペーパーが吸ってくれる。泣いているあいだ、トイレットペーパー特有の人工的な花の匂いにくらくらしそうになった。くらくらゆらゆら、夢中になって泣いていると、わたしの口は悲しみを燻らせるだけの何も無い空箱のように乾いた。トイレットペーパーになれればよかったのに。いっそのことわたしごと水に流れたかった。